パニック障害では認知と行動の両面から不安に立ち向かう練習をする認知行動療法を行います

パニック障害と認知行動療法

 

認知行動療法は、治療や再発防止に効果がありますが、「認知療法」と「行動療法」について詳しく解説いたします。

 

認知療法は不安を有無考え方を見直します

 

パニック障害の患者さんには、特徴的な思考パターンがあります。「不安だ」「こわい」という思いから、ものごとに過剰に反応し、問題をさらに大きくしてしまうのです。

 

軽いめまいがあったり、少しドキドキしただけで、「また発作が起こるのではないか、いやきっと起こる」と思い込んだり、発作で死ぬことはないと聞かされても、「今度こそ死んでしまう」と心底おそれます。また、実際には違うのに「自分は弱い」と思い込みます。

 

 

自力で切り抜けられるような状況でも、恐怖や不安をいだき、最初からあきらめてしまうのです。認知療法では、このような思考パターンを見直していきます。

 

「不安だ」「こわい」という思考以外にも、多様な思考パターンがあるのだということを学習し、医師や臨床心理士によるカウンセリングによって「認知(ものの見方・考え方)の再構成」を行っていきます。

 

 

「不安だ」「こわい」というのは、いってみれば感情的な反応です。それを、患者さん自身が論理的な目で見直せるように、カウンセラーはアドバイスします。

 

 

ただし、カウンセラーは手助けをしますが、かえるのはあくまでも患者さん自身です。長い間、慣れ親しみ、しみついてしまった、心のクセをかえるのは、容易ではありません。

 

最初はなかなかうまくいかず、挫折しそうになるかもしれません。しかし、このクセを直すプロセスを経ることで、回復は近くなります。

 

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自分の不安を論理的に見直してみる

 

不安を生んでいる自分の考えを書き出してみる

例えば、
「この仕事は私には出来ない。失敗したら評価が下がって、もう仕事をまかせてもらえない」
「みんなが私をきらって、無視をしている」

 

自分の考えに自分で質問してみる
  • その考え方は、現実的だろうか?
  • 別の考え方がないだろうか?
  • 自分が抱えている「最悪の事態」になったとして、だからどうだというのか?
  • 最悪の事態になる可能性は、どれくらいあるか?
  • 自分はこわいと思っているが、本当に「こわい」のか。その根拠は?
自分に質問し検討してみて、修正した考えを書き出してみる

例えば
「この仕事が難しいのは、みんなわかっている。自分が出来ることをやってみよう。どんな結果が出ても、全力をつくせばきっと理解してもらえる」
「長所・短所はだれにでもある。私の長所を理解してもらえるように努力してみよう亅

 

 

行動療法は不安な場面に自分を慣らしていきます

 

「認知療法」では、患者さんの心の問題点や解決法が見えてきます。

 

しかし、考え方の修正ができても、それは頭の中でのことです。

 

実際の生活の場で不安にならないようにする練習が必要です。

 

それが「行動療法」で、行動療法は特に広場恐怖症に有効です。

 

行動療法は、曝露療法(エクスポージャー)とも呼ばれます。

 

不安や恐怖を感じる場面にあえて身をさらす(曝露する)ことで徐々に慣れ、心の抵抗力をつけていくのです。

 

この療法のポイントは、それまで不安を感じていた場所や状況にいても、実際には「発作が起こらない」ことを、自分で身をもって体験するところにあります。

 

不安や恐怖は誤った思い込みだったと認識できるようにするわけです。

 

ですから、行動療法を行ったために発作が起こってしまっては意味がありません。

 

いきなりやると、曝露によって患者さんの中に不安が生じ、発作が起こることがあります。

 

これでは、ある状況、ある場所が、本当は発作とは関係がないことを確かめられないまま、かえって症状は強まってしまいます。

 

そうならないようにするには、十分な準備や、不安をコントロールする練習が必要です。

 

行動療法は専門家の指導を受け、無理をせず、段階を追って行っていきます。

 

段階ごとに「発作は起こらない」「不安が弱まっていく」ことを確認んしながら、次のステップへと進むようにします。

 

経験を積み重ねることで、抵抗力がついていきます。

 

 

曝露療法のプログラム

不安階層表をつくる

  • 自分が不安や恐怖を感じる場面を10項目書き出す。
  • 不安の程度が弱いものから強いものヘランクをつけ|不安階層表」をつくる。
  • 階層表は、その人独自のもので、曝露療法のメニューになる。
  • 曝露療法は階層表に従い、不安の程度が低いものから強いものへと徐々に進める。

はじめは付き添ってもらう

  • 行動する時は、はじめは医師や臨床臨床に付き添ってもらいます。
  • 次の段階では、家族など身近な人|こ付き添ってもらいます。

同じ場面でくり返し行う

  • 不安を感じても途中で逃げず、一定時間がまんする。不安は15分くらいから、長くても90分くらいでおさまる。
  • がまんをしていれば、いずれ不安が軽くなることがわかると、その経験は積み重ねていける。逆に、途中で逃げてしまうと、不安はいつまでも残る。
  • 同じ場面での曝露療法曝露療法を、繰り返し行う。「不安を軽くした」経験が身についていく。
  • 毎回の行働を記録する。不安の変化を意識し、「できたこと」に注目する。

一人で行動してみる

  • 不安のレベルが軽い場面を再び、一人で行動してみる(自己行動療法)。チャレンジの回数がふえていく|こ従って、不安感が軽くなることを確認する。
  • 行動の目的をつくってみる。たとえば、友人に会う、好きな芝居や映画を観に行く、評判のレストランに行くなど。その先に楽しいことがあると行動に弾みがつく。

 

 

集団行動療法はグループで助け合うメリットを理解します

 

行動療法には、一人で行う「自己行動療法」と、グループで行う「集団行動療法」があります。

 

自己行動療法は、自分だけの恐怖場面を設定し、自分の体力にそった行動レベルを、自分のペースで時間をかけて行えるメリットがあります。

 

しかし、限界もあります。

 

行動療法を一人で行うと、うまくできないと自分を責め、挫折することがあります。

 

集団行動療法には、こういった挫折が少ないとされています。

 

いっしよに行動する人がいることで、恐怖がやわらぎ、目標が達成しやすくなるのです。

 

また、広場恐怖症がある人は、家族などまわりの人に助けを求めたり頼ったりしますが、内心では、サポートを受けるばかりの人間関係を苦痛に感じ、積極的に取り組む気持ちになれないことがあります。

 

集団行動療法を行うことで、こういった閉じこもった人間関係から抜け出すことができ、広がりをつくることが出来る訳です。

 

集団行動療法では、同じようなレベルの患者さんがグループになり、互いに助けたり、助けられたりしながら行動します。

 

そうすることで、自分も人のために役立つことができるという喜びが得られ、治療にもプラスの効果をもたらします。

 

集団行動療法は、医療機関にとってもメリットがあります。

 

多くの患者さんをいっしょに指導できるので、時間を有効に使うことかでき、スタッフの手間も少なくてすむからです。

 

集団行動療法のプログラムを設ける医療繊関はふえていますので、問い合わせてみるとよいでしょう。

 

なお、集団行動療法に参加するには、主治医の同意を得ることが条件です。

 

ほかの医療機関にかかっている場合は、「情報提供書」が必要となることがありますので、参加にあたっては条件を確認しましょう。

 

集団行動療法のメリット

  • いっしょに行動する人かいることで、恐怖や不安が緩和する。
  • 「苦痛な症状」を経験しているのは、まわりでは自分だけだったのが同じように経験している人がいることを知り、目標を共有できるようになる。
  • ほかのメンバーの「行動を成功させた体験」をモデルとして学べる。
  • 他者への依存が、他者との同調へと高められ、「あなたにできたのだから、私も」と、効果が広がっていく。
  • パニック障害や行動療法についてお互いが持っている情報を交換でき理解が深まる。

 


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