パニック障害の症状を理解するところからはじめましょう

パニック障害の知識

 

パニック障害は、100人のうち2から4人は発病する可能性がある比較的ポピュラーな病気です。

 

先進国ほど患者さんの数が多い傾向があり、現代病といっていいかもしれません。

 

パニック障害という病名が米国精神医学会の診断基準(DSM)に登録されたのは1980年のことです。

 

それまでは「不安神経症」と呼ばれていたものが、急性発作性のもの(パニック障害)と慢性持続的なもの(全般性不安障害)に分けられました。

 

その10年後の1990年には、WHO(世界保健機構)で、パニック障害を病名として世界的に統一して使うことが決まりました。日本では2000年に、パニック障害の代表的な治療薬であるSSRI(パロキセチン)が認可されて本格的な治療ができるようになりました。

 

 

このように、病名(病気の概念)も治療法も認められたのが最近なので、一般の人だけでなく医療の場でもパニック障害に対する理解は必ずしも十分とはいえません

 

パニック障害で苦しんでいるにもかかわらず、正しく診断されなかったり、診断されても十分な治療を受けられない患者さんが、まだまだ数多くいるのです。

 

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パニック障害の病気の無理解は治療にもマイナスです

それでもパニック障害という病名は、このところマスコミなどで取りあげられることがふえ、一般の人にも知られるようになってきました。

 

しかし、病気の実態はどこまで理解されているでしょうか。

 

パニック障害の困難さは、病気によって日常生活がおびやかされるところにあります。米国では、パニック障害の人の苦痛や社会的障害度はうつ病の人より高く、心筋梗塞の人に近いレベルにあるという研究報告もあります。

 

パニック障害は、体の病気のように検査データなどの医学的な裏づけがないため、本人の訴えは「甘え」ととらえられがちで、多くの患者さんが「自分の苦しみはだれにも理解されない」と感じています。

 

このような孤立感は、治療の上でもマイナスとなりますので、患者さんとともに家族や周囲の人も、パニック障害についての正しい知識と理解を持つことが大切です。
(2013年のDSM-5では、パニック障害という病名がパニック症に変更されましたが、当サイトでは、日本で広く定着しているパニック障害という名称で解説しています。

 

 

 

 

パニック障害の全体像を知っておきましょう

 

心と体の両方に症状が起こる病気です

パニック障害の中心的な症状は、パニック発作で、強い不安や恐怖といった精神症状に加えて、動悸、めまい、呼吸困難など多様な身体症状があらわれます。パニック障害は、心にも体にもトラブルが起こる病気なのです。

 

しかし、発作がはじまった当初は、ほとんどの人が心の病気とは思わないようです。.身体症状が苦しく、気がかりでもあるので、まずは体の病気を疑って内科を受診するケースが多いのですが、そこで異常が見つからない場合は、神経科、精神科、神経精神科などで専門医の診断・治療を受けてください。

 

パニック障害は見落としや誤診が多く、正しい診断をされずに適切な治療が行われないと、こじれて慢性化していきます。

 

 

性格や気のせいではなく、脳の「誤作動」による病気です

どんな人でも不安になることはありますが、通常は不安になる何らかの理由があります。しかし、パニック障害の場合、最初は不安になるような理由は何もないのに、不意に嵐のような不安におそわれ、パニック発作を起こします。これは、脳内の神経伝達物質がバランスをくずし、脳が誤って作動するためと考えられています。

 

励ますつもりで、「気を強く持って」「あなたは、心配性だから」といった言葉をかける人がいますが、このような誤解は本人の孤立感を深めますので、注意が必要です。

 

 

パニック発作で死ぬことはありません

パニック発作でよくあらわれる身体症状は、動悸、めまい、呼吸困難などです。しかし、心臓、肺、脳といった臓器に異常があるわけではありません。

 

パニック発作の身体症状は、ストレスなどで自律神経が重度に緊張するために起こる「自律神経症状」です。

 

心臓が破裂しそうになったり、息をするのも苦しくなったりすると、本人は、死んでしまうのではないかと恐怖心をいだきますが、症状はまもなくおさまります。

 

パニック発作で死ぬことはないと知っていることは、予期不安広場恐怖症をコントロールするためにも重要です。

 

 

パニック発作→予期不安→広場恐怖症へと進みます

パニック発作は、いったんおさまっても、再び起こります。発作をくり返すうち、発作が起こっていないときも発作のことが頭を離れなくなり、また起こるのではないかと不安になります。これが「予期不安」です。

 

パニック障害を特徴づける症状です。さらには、発作が起こりそうな場所や状況を避けるようになり、一人で外出するのが困難になるなど、日常生活に支障が出る「広場恐怖症」をともなうようになります。

 

パニック障害はこのような経過をたどりますが、ポイントは、広場恐怖症を悪化させないことです。そのためには。早く適切な冶療を受けることが大切です。

 

 

治療は薬と精神療法の両面から行います

薬は、原因となっている脳内の神経伝達物質のアンバランスを調整して、パニック発作が起こらないようにコントロールします。しかし、薬では、不安がさらなる不安を呼び込むような心の動きまで治すことはできません。

 

そのために患者さんおよび家族に対する心理教育、認知行動療法曝露療法(エクスポージャー)、自律訓練法などの精神康法を行います。

 

パニック障害は、心と体が互いに深くかかわり合う病気ですので、治療も両面から行う必要があります。

 

 

家族や周囲の人の理解と協力が不可欠です

家族や周囲の人の対応は、パニック障害の経過を左右する重要なポイントといえます。

 

基本となるのは、病気についての正しい知識と理解です。

 

患者さんの症状に振り回されない冷静な対処も大切です。

 

服薬や通院への手助け、広場恐怖症の場合の忖き添いや自立への導き、食事の管理、家庭環境の整備など、療養生活には家族の協力と支えが欠かせません。


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