不安は誰にでもあるものですが病的な不安は問題です

不安症

 

パニック障害は、心に強い不安が根づき、日常生活が困難になっていく病気です。

 

しかし、不安そのものはだれでもふつうに経験する感情で、通常は、心配事やショッキングなことなど、何らかの理由があって、不安感を抱きます。

 

こういった不安は病的なものではなく、むしろ、これから起こる危険を察知して、心構えをするための防御反応といえます。不安は、原因になっている問題が解決すれば、時間の経過とともに消えていきます。

 

一方、パニック障害の不安は、いきなり理由もなくはじまり、身体症状をともなう激烈な発作症状を起こします。

 

その経験は心に、不安を植えつけ、予期不安広場恐怖症、回避避行動などが加わって、「できないこと」「行けない場所」をふやして、患者さんの生活をむずかしいものにしてしまいます。

 

このように、耐えがたいほど大きくなった不安や恐怖によって、心にも体にも激しい症状が起こり、生活に支障が出るようになる病気のグループが不安症(不安障害)です。

 

不安症には、パニック障害のほかにもいくつかの病気があり、それぞれに深い関連があります。また、パニック障害と合併することもあります。

 

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不安気質がもたらす「こわがり」の病気です

パニック障害の診断や治療のためには、不安症全体を知る必要があります。そこで、それぞれの病気について見ていきます。新しい冷断基準DSM-5では、主に次の病気が不安症グループに分類されるようになりました。

 

広場恐怖症

広場恐怖症は、パニック障害以外の病気(強迫性障害(強迫)、閉所・高所恐怖症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など)でも見られますが、これらの病気では不安や恐怖の対象となる場所・状況は限られます。

 

一方、パニック障害では、不安や恐怖の対象はパニック発作そのものです。「逃げ場がない、助けてくれる人もいない、ここで発作が起こったらどうしよう」と想像し、恐怖する対象が拡大して、家から一歩も外へ出られなくなることもあります。

 

それでもほとんどの人は、数カ月もすると、不安や恐怖に慣れ、行動範囲を広げるようになります。

 

しかし中には、パニック発作がおさまってからも、無意識のうちに自分で行動を制限して、高度な広場恐怖症を持ったまま数年以上が経過してしまうケースもあります。

 

恐怖の対象が拡大するのは、適切な治療がされていないためです。広場恐怖症は、薬物療法とともに行動療法を行い、高度に進むのを防ぐこが重要で、それか治療のポイントです。

 

社交不安症(社交恐怖)

日本に昔からあった「対人恐怖症」とほぼ同じ病態の不安症です。自分の能力や外見がマイナスの評価をされることに強い不安を持ち、恥をかいたり、否定されそうな場面を避けます。

 

不安や恐怖が強まると、
「足がふるえる」
「息が苦しくなる」
「動悸がする」
「大量の汗をかく」
「声が出なくなる」
「顔が朗か赤くなる」

などの身体症状をともなうパニック発作を起こすことがあります。

 

社交不安症でもっともよく見られるのは、大勢の前で話すことを極度におそれる「スピーチ恐怖」です。昇進などで人前に立つ機会がふえた人にあらわれやすく、ほかの状況ではほとんど、不安を感じない人が多いのも特徴です。

 

ほかに、人とのつきあい方やコミュニケーションの方法がわからない「対人恐怖」や、人前であがって顏が赤くなる「赤面恐怖」があります。

 

また、他人から見られる視線がこわい、もしくは自分が人を見ることで相手にイヤな感じをあたえるのではないかと、自分の視線をおそれる「視線恐怖」などかあります。社交不安症の人は、こわがりな気質があるため、ほかの不安症と無縁でありません。

 

特に、パニック障害とは非常に高い率で併発します。米国の研究によると、パニック障害パニック障害の人が生涯に社交不安症を併発する割合は67%にものぼります。

 

しかし、社交不安症は、本人も周囲の人にも病気という認識がなく、「あがり性」「気の持ちよう」などと性格的な問題ととらえがちです。パニック発作が起こった場合は、発作のもとになっている病気の見きわめが重要です。

 

発作が起こるまでの経過をできるだけ詳しく医師に伝えることが大切です。

 

限局性恐怖症

特定のものや場所などに対して、異常な恐怖心を抱く恐怖症です。恐怖する対象にさらされると、パニック発作を起こすこともあります。

 

恐怖の対象になるのは人によってさまざまですが、高い場所をおそれる「高所恐怖」、エレベーターなど狭い場所に閉じ込められることをおそれる「閉所恐怖」、雷がこわい「雷恐怖」、ヘビがこわい「ヘビ恐怖」、包丁rなど先のとがったものがこわい「尖端恐怖」、血を見ることを異常にこわがる「血液恐怖」などがあります。

 

限局性恐怖症の根底にも「こわがり」の気質があり、幼いころからつづいている人もいます。パニック障害になる前、すでに限局性恐怖症がある人も多く、パニック障害患者の8%に限局性恐怖症の既往が見られるとの報告もあります。

 

限局性恐怖症でもパニック発作が起こりますので、パニック障害との見きわめが大切です。

 

全般不安症(全般性不安障害)

全般不安症は、かつては不安神経症と呼ばれた病気ですが、1980年に、DSMによって不安神経症はパニック障害と全般不安症に分けられました。

 

さらに全般性不安障害は、DSM-5)では全般不安症という病名に変更になりました。

 

パニック障害は突然の発作症状ではじまりますが、全般不安症は、いつはじまったのかはっきりしないまま、強い不安感と神経過敏の状態が長期間(半年以上)つづきます。

 

日常のさまざまな事柄について過剰に心配し、
「緊張が高まる」
「集中力が低下する」
「すぐイラfラする」
「肩がこる」
「頭が重い」
「眠れない」

というように、心も体も調子をくずし、生活に支障が出るようになります。

 

根底に不安気質があるのはほかの不安症と同じで、薬や精神療法、生活改善によって心と体が安定するように治療を行います。


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