パニック障害は脳の機能障害やストレスなどが原因です

パニック障害の原因は脳

 

パニック障害に限らず、心の病気は誤解されがちです。

 

体の病気のようなはっきりとした検査データがないため、周囲の人からは、「性格のせい」とか、「気の持ちようだ」などといわれてしまうのです。

 

しかし、心の働きとは脳の働きであり、パニック発作が起こるのも脳の機能障害によるものだということがわかってきています。

 

脳について知ることは、パニック障害の症状を冷静に受け止めるのに役立ちます。

 

それは、病気で苦しむ気持ちに落ち着きをあたえ、治療に取り組むときの助けとなります。

 

患者さん本人だけでなく、家族など周囲の人も、脳について理解を深めることが大切です。

 

あまり専門なことは必要ありませんが、基本的な知識があれば、薬の作用などについても理解できるようになります。

 

 

脳が誤って作動しパニック発作を引き起こします

パニック障害の発病のメカニズムについては、まだ十分に解明されていませんが、パニック発作が起こるときの脳内の機能障害については、だいぶわかってきています。

 

パニック発作がもたらす、不安や恐怖は、本来は危険から身を守るための反応です。

 

脳には危険が迫ると警報を鳴らすしくみがあり、不安感や恐怖感を呼び起こして、危険から逃げたり、敵と戦ったりするための気力やエネルギーを奮い立たせます。

 

この警報を鳴らす役割は、主に「偏桃体」と「青斑核」が行います。

 

偏桃体は、情動の中枢で、身のまわりの情報が、目、耳、鼻などの五感を通して届けられると、それが危険なものかどうかを判断し、危険な場合は恐怖感を呼び起こします。

 

その恐怖感は、中枢神経系から青斑核へと伝わります。

 

恐怖感が伝達された青斑核は、ノルアドレナリン(神経を興奮させる神経伝達物質)を放出し、筋肉に血液を送り込んで心拍数を速くしたり血圧を上げたりして、敵と立ち向かう体制をととのえます。

 

しかし、こ警報システムは敏感で、不安定なために、誤って作動することがあります。

 

そうすると、まわりに危険がないのに、危険を伝えるノルアドレナリンが異常に分泌され、脳内のさまざまな領域を刺激します。

 

この刺激は、恐怖感を引き起こすだけでなく、視床下部・自律神経も興奮させ、動悸、呼吸困難、吐き気などの自律神経症状を起こします。

 

このように、パニック発作、偏桃体を中心にした「恐怖のネットワーク」といわれる神経回路の異常によって引き起こされると考えられるのです。

 

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脳の誤作動の誘因は、神経伝達物質の不均衡です

では、なぜ脳の警報装置は誤作動を起こすのでしょう。

 

それには、神経伝達物質がアンバランスになっていることが関係します。

 

脳には、少なくとも100億の神経細胞(ニューロン)があり、それぞれは離れて島のように存在しています。

 

この神経細胞の間で、情報を運ぶメッセンジャーの役割をするのが「神経伝達物質」です。

 

ノルアドレナリンは、不安や恐怖を引き起こす神経伝達物質ですが、一方には、これをコントロールする神経伝達物質もあります。

 

それがセロトニンで、不安を抑え、平常心を保つように働きます。

 

脳には、このようにバランスをとるしくみがあるのです。

 

しかし、パニック障害では、脳内のセロトニンが不足していたり、セロトニンに感応する神経の働きが弱くなっているため、ノルアドレナリンが過剰になり、偏桃体が過敏に働いてしまうのです。

 

そこで現在では、セロトニンを有効に活用できるようにする薬でSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が、パニック障害の治療薬として第一選択薬となっています。

 

このような薬の効果からも、パニック発作を起こす原因の一つは、神経伝達物質のアンバランスにあることがわかります。

 

 

ストレスや体質は発症のリスク因子になります

ストレス

パニック障害の発症には、ストレスも大きくかかわります。

 

ストレスは、うつ病をはじめ、多くの精神疾患のリスクになることが知られていますが、ストレスは脳にダメージをあたえるのです。

 

中でも、恐怖感を察知する大脳辺縁系(偏桃体や海馬)は、強いストレス体験が重なると過敏になって、ささいなことにも恐怖感を覚えるようになります。

 

また、ストレスが長引くと、自律神経にもダメージをあたえます。

 

パニック発作は、何の理由もなく突然起こりますが、実は発作の前に強いストレスを受けていたというケースか少なくありません。

 

うつ病はストレスを耐え扱いて、ホッとしたときになりやすいのに対して、パニック障害の場合は、ストレスを受けている最中に発症するという傾向があります。

 

男性では、仕事で追いつめられている状況が多く、女性は、パートナーの横暴や嫁・姑の片労など、家族関係のトラブルによるストレスが多いようです。

 

体質

患者さんのの家族歴を調べると、血縁者にパニック障害、うつ病、恐怖症、アルコール依存症の人がいるケースがかなり見られます。

 

パニック障害だけでなく、うつ病もアルコール依存症も、発症の根底には不安があるといわれます。

 

もともと不安を持ちやすい素因(体質・気質)があり、それが環境による影響の受け方によって、パニック障害になったり、うつ病やアルコール依存症になると考えられるのです。

 

パニック障害は、遺伝性の病気ではありませんが、不安を持ちやすい体質を受け継ぐことはあります。

 

体質というのは、脳内の不安に関係する神経伝達物質の合成量や、それを感じる受容体の感度のことで、こうした生まれなからに持っている体質の違いがあると考えられるのです。

 

パニック障害は、こういった体質や気質を持っているだけでは発症しませんが、そこに環境やストレスなど後天的な外因が加わって発症すると考えられます。


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