パニック障害では予期不安の症状が必ず出ます

予期不安

 

パニック障害の根本的症状である予期不安とはどのような症状でしょうか。下記に実際の例を上げてみます。

 

仕事中も発作の予感におびえる、勇二さん(27歳)のケース

 

会社員の勇二さん(27歳)は、そのときホテルのカフェにいました。取引先での打ち合わせの前に、確認したいことがあってパソコンを開いたところで、突然、息が苦しくなりました。

 

呼吸をしようとして口をパクパクさせても、うまく息が吸えず、このまま窒息するのかと恐怖におののきました。

 

手がふるえ、足もガクガクしで、早くくここを出たいと思ってもうまく立ち上がれません。

 

一瞬、気を失ったようです。気がつくとテーブルに突っ伏しており、カフェの店員が心配そうに勇二さんの顔をのぞき込んでいました。

 

その1週間後、また呼吸が苦しくなりました。こんどは、夜、自宅にいるときで、母親が驚いて救急車を呼び、病院に運び込まれました。

 

そこでの医師の説明は、「検査をしても体の異常はない。パニック障害と考えられるので、精神科か心療内科を受診してください」というものでした。

 

予想もしなかった病名に半信半疑で、翌日、勇二さんは近くの心療内科を受診しました。

 

やはりパニック障害と診断されました。

 

勇二さんは、新しい部署へ異動になったばかりでした。プレッシャーを感じましたが、やりがいもありました。

 

「仕事からはずされたくない。病気のことは会社にいわないでおこう」

 

そう考える一方で、「もし仕事中に発作が起きたら……」と思うとそれだけで息苦しくなりました。

 

処方された薬を飲んでも、不安はいっこうに消えません。発作の記憶が頭にこびりつき、「次の発作」におびえるようになってしまいました。

 

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「予期不安」はしばらくつづくが、いずれ消えます

パニック障害では、最初のパニック発作後は、発作がくり返し起こるようになります。

 

そのため、起こっていないときでも発作のことが頭から離れず、強い不安を持ちつづけるようになります。これが「予期不安」です。予期不安のあらわれ方は、人によって程度の違いがあります。

 

日に数回、ふっと意識をかすめるくらいの軽い場合もあれば、一日中発作のことが不安で仕事が手につかないような重症の場合もあります。

 

不安に思う内容は、「また発作が起こるのではないか」というものが多いのですが、発作が起こったときの感覚を体が覚えてしまい、どんなに医師から異常はないといわれても、「発作は重大な身体疾患のせいではないか」「次は死ぬのではないか」と思ってしまうケースもあります。

 

また、次に発作が起こったら
「だれも助けてくれないのではないか」
「取り乱した姿を人前で見せてしまうのでは」
「だれかに迷感をかけるのでは」

と、不安の内容がエスカレートしていくこともあります。

 

パニック障害の症状というと、パニック発作に目が向けられがちですが、実は発作を経験することで心に植えつけられる不安感や恐怖感のほうがやっかいで、それが予期不安になっていきます。

 

パニック発作に対しては、「また起こるのではないか」ではなく、「必ずしも起こるとは限らない」と考え方を切りかえることができればよいのですが、パニック障害になると不安感や恐怖感にとらわれ、なかなかむずかしいのも事実です。

 

しかし、予期不安はしばらくはつづきますが、必ずいつかは消えていきます。まず適切な治療を受け、病気を慢性化させないことで、予期不安の時期を短くすることを考えましょう。

 

予期不安がないとパニック障害とはいえません

予期不安はパニック障害の根本的な症状で、予期不安がなければパニック障害とはいえません。DSMの診断基準では、最初のパニック発作から1ヵ月以上経過観察し、予期不安が見られれぱパニッ障害と診断されます。

 

ただし、実際の臨床の場では、この勇二さんのケースのように、パニック発作がはじまった段階で、症状からパニック障害と想定して治療をはじめる傾向にあります。

 


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