パニック障害の慢性期に非定型はうつ病を併発することがあります

女子校生のパニック障害

 

パニック障害が慢性期に移行するとうつ病を併発することがありますが、下記に具体的なケースを紹介します。

 

パニック発作はおさまったがうつ状態になってしまった清美さん(19歳)のケース

 

予備校生の清美さん(19歳)に最初のパニック発作が起こったのは、高校3年生の夏でした。

 

母親とテレビを見ているときでした。

 

救急車で運ばれた病院では、心電図、頭部CTCT検査、血液検査などを受け、いすれも異常ありませんでした。

 

医師からは「受験勉強のストレスでしょう」といわれ、精神安定剤(抗不安約)が処方されました。

 

その後も、発作は週1〜2回あり、処方された薬を飲んで抑えていましたが、しだいに、電車に乗ったり美容院や試験会場へ行くことが不安でたまらなくなりました。

 

志望大学の賦験当日に清美さんは試験会場で発作が起こり、答案用紙に集中出来ずに失敗しました。

 

ほかの大学への受験にはこわくていけず、結局、浪人することになりました。

 

しかし、「発作がおさまらなければ、来年の受験も失敗する」、そう思うと絶望的になり、何も手につかなくなった清美さんは、ようやく大学病院の精神科受診しました。

 

そこでパニック障害と診断されました。

 

薬物療法や精神療法のおかげで発作がおさまり、清美さんは、混雜時を避ければ電車にも乗れるようになりました。

 

治療をはじめて4カ月目くらいになると、予備校校での模擬試験でも納得できる結果が出て、本人もパニック障害はすっかりよくなったと思えるほどになりました。

 

ところが、そのころから、
「意欲がわかない」
「気分の浮き沈みが激しい」
「体が重い」
「いくら寝ても寝足りない」
「異様に食欲がある」

といった症状があらわれるようになったのです。

 

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「非定型うつ病」の症状はいわゆるうつ病とは異なります

このケースの清美さんの症状には、パニック障害に併発するうつ病の特徴が見られます。

 

パニック障害とうつ病は、近い関係にある病気と考えられています。

 

実際、パニック障害の人の生涯を見ると、60%の人がうつ病を併発しています。

 

また、軽い躁状態をともないう双極性障害(躁うつ病)も、薬30%の人が併発します。

 

うつ病は、パニック障害の前駆期ら急性期にかけて起こることもありますが、それほど多くはありません。

 

多くなってくるのは、パニック障害が慢性期に入ってからです。

 

回避行動や広場恐怖症のために、いろいろなことが不自由になり、生活を楽しんだり何かに打ち込むエネルギーが少なくなってうつ病を併発しやすくなるのです。

 

しかし、パニック障害であらわれるうつ病は、いわゆるうつ病(定型うつ病)とは異なる「非定型うつ病」といわれるもので、症状も、一般的に考えられている”うつ病らしさ”がありません。

 

そのため、本人も家族なども周囲の人もうつ病とは思わず、症状を見落としがちです。

 

パニック障害は、うつ病を併発すると経過が長引きますので、早く見つけて適切な治療をすることが非常に重要です。

 

そのためにも、非定型うつ病(パニック性不安うつ病)の症状の特徴を知っておくことが大切です。

 

気分反応性

いつもうつ状態にあるわけではなく、まわりで起こる出来事に気分が左右されます。

 

好ましいことがあると気分がよくなりますが、嫌なことがあると激しく落ち込みます。

 

過剰に眠る(過眠)

過眠状態は抑うつ気分と併行しますので、気分が激しく落ち込むと眠気も強くなります。

 

一日に10時間以上眠る日が1週間に3日以上あったり、眠っていなくても、ベッドにいるのが10時間以上なら過眠です。

 

体が鉛のように重く感じる

単に疲れやすい状態を越え、まるで手足に鉛が詰まっているかのように体が重く感じられる症状です。

 

立ち上がるのさえ大変で、自分ではどうにもなりません。

 

しかし、周囲からは、怠けているとか、わざとやっていると誤解されてしまいます。

 

過食、体重の増加

「何かを口にしていないと気持ちが落ち着かない」という不安感から、食べることへの過剰な衝動が起こります。

 

中でも、チョコレートなど甘いお菓子への欲求か強くなります。

 

週に3日以上、度を越して食べるようなら「過食」です。

 

これにともない体重もふえます。3カ月の間に、健康時の5%体重がふえていれば「体重増加」とみなされます。

 

拒絶されることへの過敏性

他人の侮蔑的な言動や、軽視、批判に対して極度に敏感になり、ふつうでは考えられないほど激しい反応を見せます。

 

 

※なお、このような典型的な非定型うつ病の症状はないものの、軽いうつ状態になる場合があります。本人も周囲の人も、医師ですら気がつかないことがあり、注意が必要です。

 

 


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