女性のパニック障害に影響する要素とは

月経前不快気分障害

 

男性にはない女性特有の要素が、パニック障害に影響することがあります。

 

その一つに月経前症候群があり、月経前にパニック発作が起きやすくなります。

 

月経前症候群

月経前に体調や気分がすぐれなくなることはよくあることですが、それが強い場合には、「月経前症候群(PMS)」と呼ばれます。

 

症状は150以上あるといわれ、さまざまですが、代表的な身体症状としては、下腹部膨満感、下腹部痛、頭痛、乳房痛、関節痛、むくみ、便秘あるいは下痢、動悸などです。

 

精神症状としては、イライラ感、ゆううつ、不安感、無気力、情緒不安定、判断力低下、疲労感、不眠、妄想などです。

 

パニック陣害の女性患者には、月経前症候群を持つ人が少なくありません。

 

ただし、パニック障害と症状が似ているため、併発していることに気づいていないケースも多いようです。

 

月経前症候群があると、パニック発作が多くなったり、パニック障害が悪化しやすくなります。また、残遺症状があらわれやすくなります。

 

月経前症候群を持つパニック障害の患者さんを調べた米国の調査では、月経前には80%の人に不安の増加が、60%の人にはパニック発作の増加が、50%の人には広場恐怖症の増加が見られたと報告されています。。

対処法

月経前にパニック発作などの症状が悪化しやすい患者さんは、あらかじめ医師にそのことを告げてください。

 

月経前症候群には抗うつ薬のSSRIがよく効きますので、月経がはじまる1週間から10日間ほど、SSRIを増量すれば悪化を防げます。

 

また、SSRIが飲めない場合は、気分安定薬の炭酸リチウムでも効果があります。

 

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ホルモン療法

女性の健康にはホルモンが密接にかかわりますので、さまざまなホルモン療法が行われています。

 

よく知られているのは、ホルモン補充療法です。

 

更年期障害の症状の改善や、骨粗しょう症の予防になります。

 

また、乳がんや子宮体がんの治療にも、ホルモン療法が行われます。

 

ピルも広く用いられています。避妊薬として知られていますが、ほかにも子宮筋腫症や子宮筋腫、子宮体がん、卵巣がんなどの治療や予防のために使われます。

 

ピルは、2種類の女性ホルモンのうち黄体ホルモン(ゲスターゲン)を主体に、少量の卵胞ホルモン(エストロゲン)を加えた混合剤です。

 

また、ホルモン補充療法は、エストロゲンの単独投与もありますが、現在は子宮体がんのリスクを避けるめに、ゲスターゲンをあわせて投与する方法が中心になっています。

 

これらの療法をパニック障害の治療の面から考えると、いくつか気になる点があります。

 

女性ホルモンの、エストロゲンは、投与をすると、短時間で脳内のノルアドレナリン(神経を興奮させる神経伝達物質)の活性を高める作用があるのです。

 

海外では、エストロゲンを投与した直後から5カ月間ほどの間に、典型的なパニック障害が発症したという報告があります。

 

もう一つの女性ホルモン、ゲスターゲンには抗不安作用があるといわれていますが、軽い呼吸促進作用があり、長期間使っていると、血液中の炭酸ガス濃度がしだいに下がってきます。

 

そのため、パニック発作が起こりやすくなるのです。

 

対処法

ホルモン療法がパニック障害にあたえる影響については、まだ研究段階で、はっきりとした臨床データがそろっているわけではありません。

 

ピルなどを使っていて気になる場合は、一度医師に相談してみてもよいでしょう。

 

 

妊娠・出産

妊娠中

精神医学では、女性の患者さんは妊娠すると心身ともに強くなり、精神疾患の発症や悪化は少なくなるといわれています。

 

ただし、パニック障害の場合は、必ずしもあてはまりません。

 

妊娠初期は、つわりをパニック障害の症状とまちがえて苦しむ場合があります。

 

また、妊娠中にパニック発作を発症するケースもあります。

 

服薬中の薬が、胎児にあたえる影響を心配する人もいます。

 

医師とよく相談し、安全な薬にかえたり、治療を認知行動療法に切りかえるなどの対処をしてもよいでしょう。

 

出産後

パニック障害では、妊娠中より出産後に注意が必要とされています。

 

産後は、女性ホルモンのバランスがくずれて精神的に不安定になります。

 

これに、育児のストレスなども加わりって、心身が不調になりやすい時期です。

 

パニック障害でも、産後にパニック障害が発症したり悪化したりする場合があるのです。

 

なお、まだ出産経験がない患者さんの中には、出産中にパニック発作が起こることを心配する人がいます。

 

ところが、実際に出産を経験すると、ほとんどの人が「陣痛がはじまりたら、パニック発作のことなどまったく忘れていました」ということが多いので、あまり心配しなくてよいでしょう。

 

 

不安や恐怖は、女性だけのものではありません

 

上記でも述べましたが、パニック障害の罹患率は女性のほうが男性より3倍ほど高くなっています。

 

そのため、パニック障害は女性の病気と思われがちですが、なぜ女性のほうがなりやすいのか、はっきりとした理由はまた不明です。

 

一つ考えられるのは、女性が持っている複雑なホルモンのメカニズムです。

 

女性は約1カ月の周期で月経がありますが、この1カ月のリズムをつくるために、女性ホルモンの分泌が周期的に変化します。

 

この変化はストレスなどの影響で乱れやすく、それが不安感をまねきやすくすると考えられるのです。

 

男性ホルモンの分泌には、このように複雑なメカニズムはありません。

 

女性は妊娠や出産でもホルモン分泌が大きく変化しますので、パニック発作が発症しやすくなります。

 

一方で、考えてみたいのは、男性が置かれている社会的な環境です。

 

いいかえれば、環境によってつくられている男性像です。

 

最近は、男性のあるべき姿も変わりつつありますが、それでも「男たるもの、弱音など吐いてはいけない」といった男性像は根づよく残っています。

 

それは日本だけではなく、パニック障害患者が参い米国でもそうなのです。

 

男性患者は、発病当初は自分がパニック障害であることをなかなか認めようとせず、「そのような病気は女性のもの」と考える男性が多いという報告があります。

 

日本でも、男性患者と女性患者では、パニック発作への対処に違いが見られます。

 

男性は、発作が起こるとすぐに逃げられる態勢をとるか、一人で耐えようとします。

 

他人に自分がこわがっている姿を見せたくないと考えるのです。

 

一方、女性は発作が起こると、周囲に助けを求めます。(もちろん例外はあり、女性でも人に頼ることを好まない人はいます)。

 

ただ、病気に向かうときの、このような男女の姿勢の遠いが、羅漢率の差にも影響していると思われるのです。

 

男性は、パニック発作が起こっても、ギリギリまでがまんをして、なかなか受診しない傾向が見られます。

 

確かに、女性竹はパニック障害になりやすい要素を持っていますが、何も不安や恐怖は女性だけのものではありません。

 

男性でも不安や恐怖におそわれることはあります。

 

早く治療を受ければ症状も軽くてすみますので、男性もパニック障害になったことを恥じたり、がまんしたりせず、きちんと医師にみてもらいましょう。

 


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